キーワードにできる名詞の定義変更について

はてなダイアリー日記において作成可能キーワードについての問題提起がなされ、そしてアンケートが開始されている。本提案及びアンケートの手続きは、二つの観点から非常に問題が大きいと言わざるを得ない。


一つ目は、提案の中身そのものに関してだ。まずもって、「百科的情報が期待されうる名詞」の意味が全く不明だ。
「期待されうる」だから「現在百科的情報がなくてもよい」ということなのか。だったら名詞なら何でもいいということになり、現状と全く変わらない。
また、「百科的情報」が記述されていればどんなキーワードでもいいのか。私は一貫して「あまりに一般的な普通名詞」の登録に反対するものだが(実は自分の中でも「あまりに一般的な普通名詞」の定義は定かではないのだが)、そういうキーワードでも無理無理「百科的情報」を書き込めばキーワードにできるのか。言葉は語源をたぐったりすれば何となく「百科的」になるだろう。とするとすべての名詞が「百科的」であり得る。
はてなダイアリー日記を読むと、百科的情報が期待できない名詞の例が出されているが、これらがなぜ期待できないのか、いまいちよく分からない。
仮に「百科的情報を持つキーワード」へとワーディングを変更するとして、そうなると百科的情報を持たないキーワードは作ってはダメなのか。既にid:kanryo:20030003#p1で述べたが、誰もが百科的情報を持ち合わせているわけではなく、誰もがそれを調べるコストを払えるわけではない。キーワードになっていればそのキーワードを使った日記をたどっていくことによって様々な情報が得られるわけであって、必ずしもキーワードの記述自体が百科的である必要はないように思う。最初から百科的であることを求めることは、逆にキーワードシステムの魅力を喪わせるであろう。
さらに言うなら、はてな運営側は自動リンクシステム的側面のみが期待されるキーワードについては、Googleなどの検索エンジンを用いるこで代替が可能です。とばっさり言って、はてなユーザーの日記を有機的につなぐキーワードの役割を完全に否定してしまっている。キーワードの魅力半減というところだ。


二つ目の大きな問題は、普通名詞キーワードについての十分な意見集約がなされないままアンケートに突入し、もしアンケートによって示された多数選択肢とは違う決定がなされた際に、はてなダイアリー運営側が行うアンケートの信頼性が著しく低下することだ。
既にはてなダイアリー評議会の投票仮定を公開するか否かというアンケートにおいて、「否」の票が多かったにもかかわらず、結果としては「公開継続」となった。理由は納得できるものの、「じゃぁなんでアンケートなんかやったの?」という疑問はぬぐいきれない。
そして今回だ。普通名詞キーワードについての議論はつい昨日はてなダイアリー日記において提起され、そしていきなり今日のアンケート開始である。このアンケートの選択肢は普通名詞キーワードについての問題点・関連議論を十分に考慮したものとは言えず、このアンケートの選択肢以外の結論が採られることも十分に予想される(「期待されうる」の書きぶりを含め)。そうなったら「投票推移公表」に続き二度目であり、アンケートの信頼性を著しく損ね、投票する意欲をそぐことになる。


というわけで、今回のはてな運営側の動きは拙速である。キーワードにできる名詞の定義を検討するだけでなく、「一般カテゴリ」の分割、紛争処理システムの改善、あるいは現在発生している紛争の評議会による解決・評議会例の蓄積等やれることは他にもいくらでもあるはずだ。慎重な決定を望む。