出向天国 衆院法制局 行政府から半数近く

最近は、行政府に頼らない議員立法の動きが活発化。平成六年の一年間では二十本の衆法が国会提出だったのが、昨年は一年間で八十二本の法案が衆法として国会提出され、二十一本が成立している。ただ、衆院法制局とほぼ同じ定員(七十八人)の内閣法制局は昨年一年間で百四十七本の法案を審査した。衆院と内閣では組織の性質が違うものの、国家公務員としては、一人当たりの処理範囲には大きな開きがあるようだ。

産経の「国会職員キャンペーン」はまだ続いているらしい。「出向」は、専門知識等の活用の点からやむを得ないだろう。むしろ、こういう報道を機に「職員数を減らしてしまえ」「役所からの出向者はいっさいなし」みたいな変な流れになって、ますます国会の法制局が弱体化することを危惧する。
さて、衆院法制局と内閣法制局の「成果」を、審査した法律案の数だけで比較するのは大問題。

  • 記事にも示されているように、内閣法制局は基本的には「審査」に特化しているのに対し、衆院法制局はそれ以外がある。
  • 衆院法制局の実態はよく知らないが)法案を持ち込むのが「先生方」である場合、その法案は致命的にまずいものである可能性があり、内閣法制局と比べ一法案あたりの審査の手間が多い。(役所提出の場合、まず役所内部で徹底的に検討されるため、「致命的にまずいもの」はそうそうない。)
  • 内閣法制局の審査は、例えば「午前3時から参事官説明開始ねー」とかいわれちゃうことに示されるように、非人道的なスケジュール・体制で行われている。これに比べて衆院法制局の審査件数が少なくても、当然といえる。むしろ内閣法制局の方が異常。
  • だいたい、衆法・参法の中には、役人が作って、諸般の事情から議員提案となっているものもある。

こんな感じ。