出向者の給与補填、その5

その1その2その3その4
情報提供をいただきました。くうはくさんありがとう。
平成十三年五月二十三日 衆議院文部科学委員会にて。

○平野委員
(略)
 次に、一つは、今度は核燃サイクル機構から省庁へ出向しているときの給与管理のあり方でございます。
 最近、人事院はよく、官民交流ということで、民間の人も官庁へ来てもらってやりましょうよ、こういう官民交流をやっているのですが、特殊法人から官庁へ出向する場合、例えば核燃サイクル機構から各省庁へ出向する場合、こういう場合にどういう立場で出向するか。
 この出向形態も三種類ぐらいあると思いますが、派遣という形をとる場合、出向という形をとる場合と、いろいろあるのですが、手弁当で行く場合には、それはよろしかろうと思うのですね。出向する場合には、休職という扱いをして国家公務員に身分を切りかえて処していこう、こういう形態の方もかなりおられるように聞いております。
 そこででございます。そのときに、現場でいただいておった給与と官庁へ来たときの給与に格差が起こったときに、減額補償をしている実態にあるというふうに聞いています。しかし、公務員になって身分を切りかえて、社会保険も公務員共済に切りかえて、なおかつ減額補償を親元の企業がするということに対しては、私は極めていかがなものかと思うのです。人事院の方にも来ていただいていますが、こういう取り扱いはどうなのですか、公務員法違反ですか。

 

○吉藤政府参考人(引用者注:人事院事務総局総務局総括審議官) 今核燃サイクル機構のお話がございましたけれども、そのほか、国家公務員に採用されて従前と比較して給与が下がるような場合に、派遣元から従前の給与との差額を補てんする個別の事例については、私どもは特に承知しておりません
 国家公務員法の問題でございますけれども、国家公務員法上は、国家公務員に採用されて従前と比較して給与が下がるような場合に、その差額の補てんとして金銭を派遣元から受けることについて、金銭の受領を制限する直接の規定は存しませんけれども、派遣元の業務に従事しないで報酬を受けることが適切かどうかという問題につきましては、国家公務員は全体の奉仕者として公共の利益のために公正に職務に専念すべき立場にあることや、補てんの趣旨や目的に照らしまして、社会通念上公務に対する国民の信頼を損なうことがないかどうか、そういった点を踏まえて判断する必要があるのではないかというふうに考えております。

 

○平野委員 今の、公務員に身分を切りかえて給与を払っている、これは当然文部科学省のある機関のところに来られればそうなるのですが、減額補償をしているというのは、文部科学省は知っておりましたでしょうか。知っていたか知らないかでいいですよ。

 

○青山副大臣 いや、実は大事なところでして、今回調査によって確認をされた部分と、なお確認を求めている部分とありますが、今回の件は、サイクル機構から国の機関に出向している職員を休職扱いとしておりまして、休職給を支給していることが確認されました。
 それから、そうなると下がりますので、サイクル機構との間に、就業規定や給与の規定あるいは労働協定に基づいて減額分を支給するということがなされていたことが確認されました。

 

○平野委員 初めて知ったということですね、今回のことで。それまでは知らなかった、こういうことですね。これは大丈夫ですか。今回初めて知ったのですね。知っていたけれども黙認していたということではないですね。ここをはっきりしてくださいよ、官房長。黙認していたのだろう。

 

○結城政府参考人(引用者注:文部科学省大臣官房長) 今回の文部科学省の行った調査によりまして、事実上の給与補てんを行うために、特殊法人から国の機関の方に出向している職員を休職扱いとして休職給を支給していることを確認できたわけでございます。今回の調査によってこれはわかりました。

 

○平野委員 官房長はそうかもしれませんが、少なくとも当該の管理監督をしておる課は知らないはずはないと僕は思います。今回だけやったのではないのですから。ずっとやっているのだから。
 動燃は改組した。なぜ改組をしたか。その意義がわからずして、また同じことをずっとやっている。恥ずかしいのは、新聞に報道されて初めて気がついたと。そんなばかな組織になっているのか、これが一番私は悲しくてしようがない。何か外からの外圧でしか改革できないのか。外圧でしか改革できないという、この組織の持っている意味合いを非常に私は悲しく思うわけであります。
 本来、国民のための国策、国民のためにやっている事業であります。オープンにして、これだけ苦労してやってもらっておるのだから、逆に言ったら、大変だろうなと、こんな同情の余地が生まれてきて当たり前の事業だと僕は思っている。にもかかわらず、何とひどいことをしているじゃないかということになってしまうことの方が、私は、今後のこの事業の形態から見ると、悲しい思いをしてならないのであります。
 そこで、もう一つこれに関連して聞きたいのです。
 利害の関係のあるところに人を出す。まして許認可を持っている省庁に人を派遣する。身分をある時期切りかえる。それで、切りかえた後、ある時期が終わったら元へ戻る。これはどうなんですか。それでなおかつ、減額については金品を補てんする。ある意味でいったら、これは贈収賄収賄罪にならないのですか。派遣される人間も、その組織から、あそこに行っておけば自分の組織のためになるからといって出されるのだ。組織のためにならなかったらそこへ出向なんかさせませんよ。なるからこそ行くのであります。
 そういう中で、核燃サイクルの持つ本来の仕事からいきますと、原子力の研究開発であります。原子力安全委員会に人を派遣しておる。これは、規制するところと推進するところ。核燃は推進するところ、原子力安全委員会は規制をするところ。推進しておるところの組織の人間が原子力安全委員会に人を派遣している。この意味合いがよくわからない。原子力安全委員会の方にきょう来ていただいていますが、その辺は実態的にどうなんですか。身分を公務員に変えているからいいじゃないか、こういう理屈なのでしょうか。その辺、どうですか。

 

○木阪政府参考人(引用者注:内閣府原子力安全委員会事務局長) 御説明申し上げます。
 原子力安全委員会におきましては、その任務を的確に遂行するために、今般、事務局機能の強化を図ったところでございます。その強化を図る趣旨で、原子力安全に関する高い専門性を有する人材の登用ということを進めてきているわけでございます。
 その中におきまして、今先生言われましたように、我が国の主要な原子力の研究開発機関でございます核燃料サイクル開発機構の職員であった者六名の方を現在事務局職員として受け入れているところで、これは事実でございます。
 安全委員会は、文部科学省経済産業省等の行政庁が行う安全審査、いわゆる規制ということをやっているわけでございますが、その安全審査などをダブルチェックする権能を有しているわけでございまして、私どもの役割といたしまして、事業者自身、今先生言われましたような、例えば核燃料サイクル開発機構とかあるいは電力会社とか、そういう事業者自身に対する直接の規制権限を持っているわけではございませんで、それは行政庁にあるということでございます。
 したがいまして、核燃料サイクル開発機構から受け入れました職員が、直接にその事業者あるいは、今の場合ですと核燃料サイクル開発機構に対しまして、規制監督を行うものではないわけでございます。
 ただ、やはり誤解を生じるようなことがあってはならないということで、業務分担上、そういうことがないように特に配慮するということに努めているところでございます。

 

○平野委員 時間がなくなってきましたが、許認可を受ける立場、許認可をする側、あるいは原子力を推進する側、規制する側、これはやはりそれなりの緊張感ある立場になければならない。その中に、人事交流だといって、いっときの間そこへ行って人間関係をつくってこいといううまみがある。こんなことで、安直に人を受け入れてやったらいけませんよ。もっとやはり厳しいものだ。我が党は、原子力安全委員会というのは三条機関にしよう、こういう法案を実は出してきたわけであります。そのことがまさに、今やられていない証拠じゃないですか。したがって、今後、対処をきちっとしてもらいたいと思うのです。
 ただ、この問題は、私はサイクル機構はけしからぬと思っていますし、やはりサイクル機構のそういう経営責任を私はきつく問いたいと思いますので、きょうは財務を、財務の人はまして、あなた、文部科学から天下っておるんじゃないですか。一番よくわかっているんじゃないですか。それでもそんなことをしてしまっているということは、私は、文部科学の監督責任もやはりきちっとしてもらわなければならない。
 まして理事長、じっと座っておるだけとちゃいまんのやで。事故の責任をやはりしっかりとってもらわないとだめですよ。あなたは動燃のときに理事長に就任されたんですから、動燃改革をなぜしたかということも十分わかって今日まで来ているんですから。理事長がやはり一番偉いんですから、理事長自身がしっかりとそういう意識、認識に立ってもらわないと、現場で一生懸命働いておる研究者あるいは現場の従事者はたまったものじゃないですよ。もう意識が低下して、私ら何ぼやっても世間からの批判にばっかりさらされるわといったら、ますますこの事業が衰退する、このことに私は強く危惧をするわけであります。したがって、今回のことはきっちりと責任はとってもらって、改めて、新生の、新しい核燃料の研究開発の体制をきちっとしいてもらいたい。
 このことをぜひお願いいたしまして、大臣、最後に、そういうことをやるという決意を言ってもらいたいと思いますよ。大臣ですよ、これは。

 

○遠山国務大臣 御指摘の方向をきちんとチェックし、責任をとるべきところはとるということで、この問題に対処してまいりたいと思います。

 

○平野委員 これで終わりたいと思いますが、きょうのNHKの昼のニュースで処分が減給とか、たかがそんなしっぽを切るような処分では納得しない、このことを言っておきますから。事実かどうか知りませんが、きょうNHKの昼のニュースで流れておるようですから、そんなことでこの問題を片づけていただいては困る、このことを申し上げまして、終わります。

(強調は引用者によります。また、一部誤字を修正しました)