一目見たそのときから…

ここからは、当時の応募者のみなさまから呪詛と憎悪の嵐をうけそうですが、正直に申します。

経験というのはおそろしいもので、作品本文を二行読んだとたんに、いや、梗概(あらすじ。コーガイというのがアラスジって意味だって理解してないとしか思えないものがかなり多かったですねぇ。全体のアラスジじゃなく、「文庫のカバーのめくったとこ」にあるような、ヒキのとこまでしか書いてないとか)をみたとたんに、いや、タイトルをみたとたんに、いや、開封したとたんに……いえ、さらには応募原稿の「おもてがき」をみたとたんに、まるで占い師か超能力のように、「あ、これはC以下」ってわかったりするんですね。

この確信は、99パーセントの確率ではずれません。

いつぞや紹介した久美沙織さんの文章から。小説の新人賞の「一次選考」をバイトでやっていたときの話とのこと。
官庁訪問も一緒。ところがこの第一印象というか語りというのは人の全人格から出てくるものだから、なんらかの就職活動向けトレーニングなんかによって変えられるものではない。
ただ、別にその役所に「今回はご縁がありませんでした」と言われても、別の役所では求められるものが違うし、そもそも役人だけが人生じゃないのでぼちぼちやってください。学生の皆様。