ZDNN役所が「SOHO」という生き方を理解する日は来るか?

カトゆーさんのところから。

んーと、違うよね。
役所、あるいは役人が、小寺氏の述べるような意味でSOHOという生き方を理解するかどうかは、役所が起業支援をするかどうかとは、直接の関係がない。国民の税金(この場合は多くは戸田市民の税金)を使って起業支援をやる以上、それが経済の発展に繋がって、多くの人が幸せになる、あるいは結果的に税収が増えることが必要である。
役所としては当然、SOHOで起こした事業が拡大し、より多くの雇用を生み出し、付加価値を生み出し、そして結果として税収が増えることを考えているわけで(経済の活性化、失業対策)。
もちろん小寺氏の言うSOHO支援でも失業対策にならんことはないし、経済も活性化するだろうけど、しかし将来ソニーやホンダのような世界的大企業になってもらった方が役所としても国民としてもいいわけで。

しかし例えば筆者のような文筆業を考えてもらえれば分かるように、こういう職種は会社組織にすることが難しい。「コデラノブヨシ」というパーソナリティで仕事を頂いている限り、代わりがいないのである。これを「株式会社コデラノブヨシ」にしてゴーストライター何人も抱えてボロ儲け、とやるわけにもいかないのだ。

「株式会社コデラノブヨシ」という会社でゴーストライター何人も抱えてボロ儲け、の場合、小寺氏ほどの実力がないライターであるにもかかわらず、小寺氏の名義であるのでその文章が売れることになる。ゴーストライターが道義的にいいことかどうかは別として、ゴーストライターに雇用の機会を与えているという点で、小寺氏がSOHO的に商売をするよりも、失業対策としてはいいことだと言える。また、小寺氏が一人でやる以上の仕事をこなして儲けられることから、脱税節税を別とすれば、税収も増えるであろう。

誰にとっても、会社を興して成功するすることが幸せなのか、お金さえ儲かれば幸せと言えるのか、という問題は、人生の価値観につながる。

今の役所に欠けているのは、おそらくこの視点だ。仕事はずーっと小さいままだが、家族が幸せに暮らして行ければいい、そういう生き方があるというところを理解するまでには、長い時間がかかる。

なぜこの理解を役所のような自治体経営の施設に求めるかといえば、私企業運営ではSOHO者を保護したって、大して得にはならないからだ。採算を度外視しても市民の幸せのために税金を投入できる自治体でなければ、SOHO支援は成り立たないのである。さまざまな価値観を許容できる社会を作ること、これが役所本来の仕事ではないかと思うのだが。

自治体・政府は、採算を度外視して「ある市民」の幸せのために税金を投入できない。そんなことをすればよってたかって叩かれちゃうよ。SOHO支援が「市民全体」の利益・幸せに繋がることを説明しないと、政策を実行できない。
現状では、SOHOのままでいる生き方支援という「ある市民」に対する利益供与は、市民全体から理解されないであろう。「SOHOが、事業を拡大して、雇用を増やし、税収を増やす」という理屈があるから起業支援ができるのだ。
人生の価値観の多様性は当然重要であり、さまざまな価値観を許容できる社会は素晴らしい。それはそれで他の政策で追求するから、SOHOのままでいたい人は、役所なんかに頼らずやっていけばよい。