47氏による「デジタル証券によるコンテンツ流通システム」

http://www.geocities.co.jp/SiliconValley/2949/Digikabu.html
素直に評価。/.Jでは意外とこき下ろす意見が多かった。
もちろん適用できる範囲は狭いかもしれない。「観賞後」評価があがることを前提とするシステムなので、いわゆる「オタク向け」の作品にしか向かないかもしれない。オタク向けでも「続編」が続けて出るような作品にしか向かないかもしれない。エヴァンゲリオンなんかは下馬評もすごかったけど放映後のグッズ等の相場もすごかった。そういう「後からの評価」を取り込んでいけるシステムだと思う(ちなみに私は三鷹市水道局の下敷き「桜と制服レイちゃん」「蛍と浴衣レイちゃん」を持っており、高値の時に売り抜けていれば、と思ったことは一度や二度ではない(笑)。本当は保険の電話ボックスアスカが欲しかったんだけど)。いまなら私は「黒田洋介」株を買ってもいい(IPOの時のブックビルディングですんげぇ高い値が付きそうだ)。黒田洋介株を買うと縁川小石主人公の短編を作ってくれという要望をする権利が得られるだろうか。
さて、2ちゃんねるにおけるデジタルコンテンツ流通をめぐる議論についてはよく知らないので、この47氏の提言がどこまでオリジナリティあるものか、あるいはなんらかの入れ知恵をした黒幕がいるのか知らないが、氏の提言の一番重要な部分は、

 もしユーザーがあるコンテンツの製作者に対して支援・投資したり、コンテンツに対して何らかの影響力を及ぼしたければデジタル証券を購入するという形で自らの資金をそのコンテンツに投入する。

 ここで、デジタル証券保有者に対して、コンテンツ提供者が管理するご意見サイトへ優先的にその意見を伝える権利などを持たせるのもあり(これは株で言う配当や経営権に当たるかと)

だと思う。要はどれだけ魅力的な「商品」を提供できるかということだ。これはまさにコンテンツ制作者の腕の見せ所であり、あっと驚くビジネスモデルが出てくることが期待される。

ただこの提言が「winnyによって映像・音楽作品の著作権がほぼ無力化された状況」を与件としてなされていることに対しては批判があるかもしれない(/.Jにおいてもこの点批判があった)。しかし今や(特にアニメ特撮に関しては、古いものを除いて)winnyで手に入らないものはなく、その意味において47氏の現状認識は正しいのであろう。47氏がやらなくても誰かがやった可能性は高いし(47氏の功績を否定するものではないよ)。
要するに映像・音楽作品のパッケージ売りそれ自体ではもはやビジネスにはならず、さらにもう一歩先へ行かなければならない、ということだ。これはテクノロジーの進化に伴うやむを得ない変化であろう。まぁ同じくテクノロジー著作権を保護するためのすばらしい手法を見つけだす可能性もあり、この「著作権フリー」の状況が過渡的なのか、それとも不可逆の変化なのかは私にはわからない。

何にせよ、この提言は金融機関が本気になって取り組めばできないことはないものだ。著作権関係ビジネスに詳しいあおぞら銀行みずほ銀行(旧富士)に検討してもらいたい。

ところで、winnyの匿名化ってどれぐらい匿名なのかねぇ。あるいは交換しているファイルの暗号化ってしっかりしているのだろうか。交換しているファイルが相当程度暗号化されているならばパケットを捕まえても容易に何のファイルか判定できないことになると思うんだけど、そうするとホントに著作権保護がむずかしいよねぇ。