シュリ

 韓国映画「シュリ」を3年ぶりぐらいに再度見る。


 この作品はアクション・サスペンス・ラブロマンスものとして非常によくできているのだが、そのリアリティーを補強しているのが南北の政治情勢である。
 南北の関係について、日本人である私には韓国の人、北朝鮮の人がどういう風に感じているのかは実際にはわからない。それがわかればもっとこの作品を理解できるような気がする。


 さて、この作品では「官僚」というものがよく見えると思う。クライマックス、南北サッカー会場から南北首脳を逃がすシーン。(北はともかくとして)選挙で選ばれた大統領を二重に囲んで警備隊が出口へ向かう。
 当然囲みの外の警官(軍隊?安全企画部?)は暗殺者の銃弾の被弾リスクが高い。しかし国民代表の政治家のために命をなげうっている。
 これはまさに官僚のあるべき姿だと思う。
 国民代表の大統領(あるいは首相)は命をとして守り、国民の意向を通すべきだ。それが歴史の発展であり、官僚は歴史の発展の下支えをするのだ。
 出口へ向かう途中、大統領と主席を囲んで守る警備隊の顔は、ほとんど見えない。カメラは大統領・主席をフレームの中心に据え、周りの警備隊は激しく動いているからだ。それでいい。中心には責任者がおり、周りを支えるのだ。
 周りを支える人間がいるからこそ、大統領の肉体的生命・政治生命は守られ、国は動くのだ。