議論から逃げるな、朝日新聞。「ことの本質」、その前に。

朝日新聞1月22日社説(リンク先はid:lovelovedogさん保存のミラー)
新聞社は過去記事消すなと言いたい。その点毎日はよかったのに、毎日MSNになってからリンク切りやがった…。
朝日新聞はNHKを名誉棄損で訴える構えだ」とありますが、これを読んで鼻から牛乳吹きそうになりました。ええーっ、自分でケンカふっかけておいて、相手が「違う」と主張したら「訴える」ですか。どこのごろつきですか。
まぁそれはそれとしまして。朝日の言いたいこともわからんでもない。しかし、その前に、「政治によるNHK番組への介入」があったのかなかったのかが問われるべきでしょう。安倍さん、中川さん、NHK幹部氏が何を言い、何を言わなかったのか、どう行動したのか、とかその辺の事実関係。それが明らかになった上で、「介入」を定義し、もし朝日の報じていることが事実ならば、ではNHKと政治の関係はどうあるべきかとか、そもそもNHKという組織をどうすべきなのか、という話になるはず。そして朝日の言っていることが間違っていたならば…「K.Y」以来の、また別の「ことの本質」が出てくるでしょう。
今のところボールは朝日がもっていると言うべきです。NHKが発出した18項目にわたる詳細な質問状に関し、朝日はまともに答えていません。特に取材テープの存否。「すりあわせ」発言に関するところは非常に興味深いですが、ま、余録でしょう。
言った言わないの水掛け論である以上、立証責任は「言った」と主張する朝日新聞側にあります(「言っていない」の証明は悪魔の証明です)。これに対し、最も簡単で、かつ唯一の立証手段は取材テープの公開です。先の18項目公開質問状によれば、朝日の本田記者はろくにメモもとっていなかったそうですから(これについても朝日からは反論はないと思います)、そうなると取材テープがない限り朝日の正しさは立証されません(人間の記憶がいい加減なのは皆さんもご存じのとおり)。
なのに朝日は出し渋っています。もしテープがないなら、えれぇいい加減な取材と記事、のそしりは免れません。テープがあったらどうでしょう。テープがあったとして、それが朝日の主張を裏付けるものだったら、録音がNHK公開質問状に言う「取材倫理に反する行為」であったとしても、そんなことは吹っ飛ぶぐらいのインパクトがあります。NHKが国民をだまそうとしていた! しかも数年前の国会での発言もうそ! そうなれば、「取材倫理」なんて国民は気にしないでしょう。訴訟を前提とするにしても、もしテープの内容が朝日の主張どおりのものならば、公開しても問題ないはずです。堂々と公開し、NHKに謝罪と訂正を求め、損害が発生しているなら損害賠償を要求し、NHKがうだうだ言うのであればそれから訴えてもいいはずです。
テープがあったとして、それが朝日の主張と違うものだったら。こりゃテープがなかったときよりも(朝日にとって)ひどい話になります。
朝日がテープを出さない理由は、普通に考えて、テープ公開が朝日にとって不利だからです。テープがないか、テープの内容が朝日側にとって不利だからです(あるいは朝日がこのような合理的な思考のもとに行動しておらず、単にバカだからか)。
朝日は「訴訟」を理由にしていろいろ言わないようにしているようです。ネット上でも、NHKが正しいならばNHK名誉毀損で訴えればいいじゃないか、訴えないのはNHKに後ろ暗いところがあるからだ、という主張がまれに見られます。しかし、訴えれば絶対に朝日は何も言わなくなります。そしてどのような結果であれ、判決が確定するのに何年もかかります。そのころにはこの事件もすっかり風化してしまっているでしょう(そして、例の「法廷」に関する判決が延期されたことで、朝日、あるいは本田記者としては風化させてしまってもとりあえず目的の一つは達成できた、と言えなくもないです)。
この事件を風化させず、NHKと政治家の問題にしろ、朝日新聞の問題にしろ、「ことの本質」を見失わないためには、訴訟ではなく平場の言論で片を付けるべきです。それが言論機関たるNHK朝日新聞のやるべきことでしょう。NHKは公開質問状の形で朝日に問いかけました。朝日は実質的にだんまりです。今のままでは、言論機関失格といわれても仕方がないのではないでしょうか。朝日新聞には早急にNHK公開質問状に回答していただきたいものです。
繰り返しになりますが、事実関係が明らかになって初めて、朝日の言う「ことの本質」に迫ることができるのではないでしょうか。


あと以前から気になっていたのですが、テレビ局が絡む話題だと、全部「文化・芸能」カテゴリに記事を分類してしまう新聞社が結構あります(今回は毎日新聞)。これ内容判断して自動的に振り分けがなされているんでしょうか。それとも人手でラベリングしているのでしょうか。いずれにせよ、これは「社会」だと思いますが…。