「香田さん遺体発見?」の報をめぐる大混乱

情報の判断ミスが誤報に 最終確認の詰め不十分

共同通信社イラク日本人人質事件で30日未明、イラク北部で見つかった遺体について、人質の香田証生さん(24)と断定し「香田さん殺害」との誤報を配信した。政府関係者や与党幹部らの取材に基づくものだったが、最終確認の詰めが不十分だったことと、情報の判断ミスが誤報につながった。

 共同通信は30日午前2時ごろ、高島肇久外務報道官が外務省にタクシーで駆けつけるところを確認。首相官邸と外務省のほか、中東の衛星テレビ、アルジャジーラの動向など現地の動きも並行して探った。

一方で細田博之杉浦正健正副官房長官らが官邸に参集。こうした状況も併せ、「政府は香田さんの死亡をほぼ断定している」とする十分な根拠はあると判断。午前3時3分に「香田さん殺害」のニュース速報を流した。

高島報道官は午前4時から記者会見し、バグダッド日本大使館に米軍から「バラドで日本人らしい遺体が発見され、香田さんの体の特徴と一致する部分がある」との連絡が入ったことを明らかにした。

その後の取材で香田さんの死亡を否定する情報がなかったことに加え、当初の取材結果に重きを置き続けたため「政府は歯型や指紋などで最終確認しない限り正式発表はしないが、香田さんの死亡を間違いないとみている」と判断し、政府の「香田さんではない」との発表を待つことになってしまった。

(了) 10/30

これを読む限り、事実確認もしなかった共同が単に飛ばしただけの話。実際朝日や読売は「政府が確認中」以上の記事を出さなかった。
それでいて「政府の混乱」をあげつらう。詫びもなし。
外信記事を共同通信時事通信による配信に頼るしかない地方新聞は、共同通信のニュース配信システムにより「死亡記事」をそのまま載せてしまった。その後、例えば熊本日日新聞は以下の「お詫び」記事を載せている。

おわび イラク日本人人質事件の報道について 

イラク日本人人質事件をめぐり「くまにちコム」は30日、共同通信社の情報をもとに香田証生さんが殺害されたと報じましたが、米軍が通報した遺体は最終的に別人で、香田さんの安否は依然不明であることが判明。殺害は誤報でした。

共同通信社は30日未明、米軍から日本側に香田さんとみられる遺体をイラク国内で発見したとの通報があり、首相官邸細田博之官房長官、また外務省には担当局長ら政府要人が急きょ招集されたことをつかみ取材を開始。取材に対し、複数の政府要人、与党幹部が、香田さんが死亡していると認めたため、政府が断定していると判断し、香田さん殺害を速報。「くまにちコム」も信頼性が極めて高いと判断し、伝えました。

しかし、30日午後6時すぎ高島外務報道官が記者会見し、米軍が通報した遺体は香田さんと別人と発表しました。

この報道により香田さんのご家族、関係者及び読者の皆様にご迷惑をかけましたことを深くおわびします。