年金法案改正チョンボ、さらに続き

id:kanryo:200407023に関して。bewaadさんと被るところもありますが一応。
今回の問題、とおりすがりさん的に言うならば(A)という感想を持ちます。与野党の超対決法案であり、閣議決定直前まで法案の重要な中身がいろいろ変わったでしょうから、その検討が優先されてミスの取りこぼしがあったのではないかと。普通はあんまりない話ですが、当時のタコ部屋でどんな事態が発生していたかというのはよくわからないので。
年金法案は超重要な法案だったので、担当者も優秀な人を集めてきていたはず。そういう人たちですから、BとかCとかとはちょっと違うと思います。
ついでですが(1)の点。これを「役所がどう対応するか」という問題だと見ると見誤ります。これは既に役所の問題ではなく、政治の問題です。政治状況が許さないから「正誤表」になるわけであって、役所だけの判断だったら再改正法案ということになった……はず…たぶん。
あとやまさんのご指摘ですが、モラルハザードにはなりません。役人の評価は減点主義ですから、たとえ国家公務員法上の懲戒処分にならなかったとしても「あの人は昔年金法案で大チョンボしたんですよ」と語られ続けます。それが回り回って評価となる(評価とはこの場合「花形の部署に行けない」=「ある程度以上の出世の道が絶たれる」ということですが)。よってたとえ失敗したときにその場での処分がなくても失点には変わりありませんから、余計なリスクを取る要因にはなり得ません。
bewaadさんご指摘のとおり確率的に発生しうる問題ですから、責任ばかりを問うてもしょうがないです。この辺は航空機事故といっしょで、やたらに責任を問うのではなく、どうしたらミスの発生確率を低下させられるかという観点で対策を考えるべき。先に私は「国会のチェック体制を充実させるべき」と主張しましたが、もう一つ付け加えるならば「どうしてこんなミスが起きたのかを調査し、役所側の改善策を検討する」ということでしょうか。アメリカでは議会の911委員会が詳細な調査・ヒアリングを元に膨大なレポートをまとめましたが、どーして日本ではそういう原因究明をしないで「担当者の首持ってこい」という話になりますかね。
検証もしないでやたら責任ばかりを問うては、役人は余計責任逃れをしますよ。「ミスをミスと認めない」という形で。「官僚の無謬性」ってやつです。今回はミスが明白なので言い逃れはできませんがね。
そもそも、繰り返しますが「ミスを絶対なくす」なんてことはできないです。100のミスを10にまで減らすのは簡単にできますが、1のミスを0.1にまで下げるのは非常にコストがかかる。どこまでミスの発生を許容するかはミス抑止コストと比較しながら判断しなければならない話です。「ミスをなくすためならどんなにコストをかけてもいい」という時代ではない以上、ミスをゼロにする努力もさることながら、どうリカバーするかを考えるべきでしょう。
ついでに。一連のミスの発生から処分までを見ていると、やっぱり役人の評価は減点法以外にあり得ないような気がしてきました。政治や国民感情からして。「実績・実力重視」なんて絵空事だわ。