続・予算は使い切る!

予算は使い切る!については、いろいろ御意見いただきましてありがとうございました。民間企業の例あり、地方自治体の例あり、独法の恨み辛みあり(笑)、なかなか面白く読ませていただきました。独法の件については私自身もごにょごにょということがありまして、これがまたアレです(意味不明ですみません)。

# nanno 『で、思ったのが、国は膨大な借金をかかえているんですから、何らかの形でその借金の返済のノルマを予算と共に割り振るというのはどうでしょうか?予算が余ったところはそれを借金返済のほうに当てられるようにしておけば、無駄な予算使いきりもなくなっていくんじゃないでしょうか。』
# i 『余った予算はプールして利子が付くようにするといい、必死で貯め始めるよ』

との御意見ですが、これについては

# ishigami 『民間には「投下資本vs収益」の概念があるから異なる分野でも比較できるけど、官には「収益」にあたる明示的な概念がないからねえ。』

というishigamiさんのコメントがまさにそのとおりという感じです。
とにかく「売上げ」とか「利潤」というものがないので、では「成果」とは何かという話になります。いやもちろん経済効果が何億円とかそういう話はありますが、そんなもの鉛筆を舐めて作る数字なので、成果としてはどうかなぁというところです。
経済効果何億円だから税収が何億円あった、なんて計算もやってやれないことはないと思いますが、相当あやしい計算になると思いますし…。所得税のうち、これだけの割合はうちのこの施策によって○○業の所得が増えたからだ、だからこの分はうちの取り分で、そのうち借金返済ノルマ分をこれだけとして…なんてことは不可能。そもそも経済の活性化が一番の目的でない政策も山のようにありますし(典型的には防衛)。一番単純なのはアレです。新しい施策を実施するごとに新しい税金を課す(あるいは既存の税金の税率をいじる)。その税金はその施策以外に流用不可。これなら予算配分なんてことに頭を悩ませる必要はなくなります。余ったり足りなくなったりしたら事業のやり方を変えるか税率を変えるか。しかし今の施策を全部その手法に移すのは無理。いちいち税金を設計して徴税するのもちょっと無理。
また、事前に決めた政策目標との比較で云々という話もありますが、確かにその政策の評価手法としては有効でしょうが、予算配分ということを考えた場合、他の政策との比較が難しいという難点があります。

# ZOTTO 『民間の大規模企業だと一部門がすべての予算に権限を持つことは無いです。○○部でいくらと決めてそのトップに裁量を持たせるやり方が普通です。役所でも防衛庁はいくら、経産省はいくらと決めて後は内部に任せ財務省はチェック中心にするのが合理的かも』

これは仰るとおりなのですが、

# cesario 『地公体だと財政当局が各部に枠で予算配分してあとは自由,って世界がありますね。たぶん国でこれやったら「なんで●●省の予算がこれだけなんじゃゴルァ(# ゜Д゜)」って人が大量発生する予感。』

ということになります。そもそも防衛庁がいくら経産省がいくらというのを誰がどういう基準で決めるのか。そしてどうやって国民に説明するのか。それでもってもしどこかの役所で予算が余ったら「年度当初の予算配分基準がおかしいじゃねぇかゴルァ、責任者の首を切ってこい」と野党の皆様方からご批判をちょうだいしてしまいます。
今の予算は、建前としては、これこれこういう施策を行うのに単価を積み上げていくとこれだけのお金が必要でございます、これをこの省について積み上げますとこれだけの金額に、政府全体ではこれだけ必要でございます、一方税収はこれぐらいと見込まれますのでこれこれこういう感じの予算にしたいと思いますが如何でしょう、と国会にお伺いを立てる形になっていますので、一応理屈は立っています。
けどこの単価積み上げ、もうやめたい。単価は実勢価格と合ってないし、計算はめんどくさいし。アメリカとかヨーロッパ諸国はどうやってるんだろ。要研究、というか財政審議会の資料であったような…。