年金未納問題雑感

実は年金のことはよく分からないので、今までこの日記で採りあげてこなかった。賦課方式じゃなくて積立方式にしてくれよ(しかも運用先は柔軟に設定させてくれ)とか、そもそも何十年も前から高齢化で年金や医療費が大変なことになることが分かっていながら高齢者の票目当てに改革が迷走することへの怒りとか、高齢者優遇政策を採り続ける自民党政権に反旗を翻さず自民党に投票したりそもそも投票所に行かないなんていう40代以下の大人たちへの不満なんかを持っていた高校生の頃の私である。ところが自分が大人になったら思考停止してしまった。アホめ。よく考えたら自民党以外の当時の野党はもっと高齢者優遇政策を打ち出していたのかなぁ。とすると当時の大人はそれなりに偉かったと言わないと失礼か。
ところで、今回の年金未納をめぐるごたごたは見ていて楽しかった。菅直人未納三兄弟批判、自身も未納で自爆、福田官房長官辞任で先手、なんて久しく見なかった面白いドタバタ劇(官房長官の辞任は年金未納を「使った」だけで、他の理由が必ずあると思うけど)。どれぐらい面白いかというと、TBS年末特番の政治ドラマよりも面白い。確実に。
年金未納問題は実のところ本筋の年金改革とはあんまり関係のない話で、まさに「政局」なのでここに書いてもしょうがない話だとは思っていたのだが、しかし気になる話がある。

与党と民主党は6日午前、国会内で幹事長・国会対策委員長会談を開き、年金改革関連法案を巡る国会混乱の収拾策などについて協議した。

民主党が求めた、国民年金保険料の全議員の納付状況公表や公的年金制度一元化問題で意見の隔たりが大きく、引き続き協議することになった。この結果、年金法案を採決する衆院本会議は7日以降に持ち越された。 

会談では、国民年金保険料の未納問題について、事後納付できる期間を現行の2年から延長することなど改善策を講じることや、国会議員については歳費から国民年金保険料を天引きすることなど再発防止策をとることで一致。必要な法改正などについて今後、与野党の実務者で協議していくことになった。社会保障制度の在り方を検討する与野党協議会の必要性についても、大筋で一致した。

天引き!国会議員ともあろう人たちが、「自分では確認やら手続きをようやりきれませんから、給料から天引きしてくらはい」というのか!「選良」が聞いてあきれる。
天引きは国家総動員態勢下、税金を確実に取りたい行政のもくろみで始まったものだが、もちろん天引きされる労働者にもメリットがある。いちいち制度を調べたり、税務署やら社会保険事務所に行ったりしなくていいんだもの。どうなっているかというと、行政と労働者のコストを会社に負担させている制度だ。これを国会議員に導入するて。
国会議員の歳費支払い事務をしているのは両院の事務局で、いわゆる「行政」ではないのだが、国の機関であることは間違いない。そこで働く職員は一般には「官僚」とは呼ばれないが、国家公務員であることには変わりはない。国会議員の年金保険料を天引きするということは、国会議員が負担すべきコストを国に転嫁するということだ。常日頃「行政のスリム化効率化」とか言っている与党を含めた「選良」の皆さんは何を考えているのだろう。特に「脱官僚!」なんてことをマニフェスト(藁)のトップに掲げておきながら、結局自分のことを自分で始末できず役人に頼ろうとする民主党首脳陣はどうなっているんだ。
未納対策の本筋は、天引きを強化することじゃなくて、より申告制度に近づけることなんじゃないのかなぁ。深く考えてないけど。この際勤め人の所得税も含め申告にしてしまって、自分でやる。手間は増えるし、制度を調べたりするのは面倒だけど、そういうとき税理士とか「年金アドバイザー」とかそういう産業も活性化するだろうし。うーけどそれだとやっぱり面倒だな。第一行政側の体制をもっと充実させないと徴収できなくなっちゃう。どーしたものか。