なぜ総理は人質家族に会わないか

そりゃぁ会っても「人質救出に全力を尽くす」以外に言うことはないし、そうだとすると面会後家族はマスコミを使って総理を強く非難するからだろうよ。
福田赳夫総理がなぜダッカ事件超法規的措置を執ったかというならば、もちろん「良心」なるものが働いた可能性もあるだろうが、基本的には国内世論の動向を気にしたからだろう。国際的な立場・テロリズムに対する原理原則と国内世論を天秤にかけて、国内世論を取ったのだ。
それが悪いことだとは言わない。世論の動向は重要だ。いくら原理原則があったとしても、世論の一定の支持がなければ政府は政策を遂行できない。世論をくまない政府は危険だ。原理原則ばかりを貫いて世論の動向を全く気にしない政府なんて、国民にとって危ない政府に違いない。だから福田総理は世論の動向を見て、そのように決断したのだろう。それが政治なのだろう。(だからといっていつも世論ばかりを見ていてもらっても困るのだが。)
今でも世論が重要であることは変わらない。この状況下で小泉総理が家族に会い、マスコミ報道によってもしも世論があさっての方向に傾くようなことがあったら、小泉総理の足下が危うくなり、対テロの原理原則を貫くことが難しくなるかもしれない。テロだけではない。年金審議も待っているし、国民保護法制はじめその他の重要法案もあるし、そして夏には参院選だ。
というわけで私は小泉総理が人質家族に現時点で会わないという方針を支持する。