web2.0特集をしながらついて行けない雑誌

今週発売の週刊ダイヤモンド5月20日号。私はweb2.0がどんなものかはいまいちよく分からないんだけど、blogにおける軽率な言動の危険性は理解しているつもり(ちなみに日記のタイトルに「2.0」をつけたのは、web2.0言及の一次ブームがとうに過ぎ去った本年初めだ。特に意味はないしそのうちバージョンアップするかダウンするだろう)。一般常識からかけ離れたことを書けば非難されるし、嘘をついたり事実を隠して印象操作すればたちどころにソースが現れ叩かれる。
そしてブログにおいて注意すべき点として、週刊ダイヤモンドが例に挙げたソニーマーケティングが行ったウォークマン宣伝ブログの失敗の顛末は以下のとおり。

ブログを閉鎖したソニーマーケの事情

昨年、ソニーマーケティングウォークマンに詳しい個人に新製品の使用体験記をブログで発表するように依頼した。依頼を受けた女性が商品をミニスカートに上に載せて撮影した写真などが掲載されると、商品と関係のない下品なコメントが相次ぎ、ソニーマーケティングはそのブログの閉鎖を決めた。

ちなみに閉鎖されたブログは★カワイイ★のがいいの!ですね。問題の膝上ウォークマンこれ。いやぁさすがweb2.0、後に残りますねえ(2.0は関係ない)。

はっきり言ってこの記事は間違い。これがブログだったら炎上ですよ。というか週刊ダイヤモンドの取材が甘いのかソニーマーケの公式見解がこれなのか編集部の自主規制か。ちゃんと跡地に書いてあるじゃない。

本サイトは終了いたしました。

一部の方々に誤解を生じる可能性のある表現があったことをお詫びいたします。

サイト終了に際し、皆さまには大変ご迷惑をおかけいたします。

「下品なコメント」が「一部の方々に誤解を生じる可能性のある表現」?アホか。

既にご承知の方も多いと思うけど、これは昨年起きた炎上事件。ソニーマーケティングの稚拙な運営によって失敗したもの。
そのブログで扱われていたWalkman Aは、当時大苦戦。iPodに押されまくってにっちもさっちもいかなくなっていた。その出来映えはネット上で酷評されており、コネクトプレイヤーには不具合が続出。デザインも悪かった。iPod nanoと同日発表だけど、nanoは即日発売、Walkmanは2か月後。ネット上には不満が渦巻き、そして着々と評判を落としていた時期の話だ。
なぜ炎上したか。「ろくでもない(と思われる)商品を、あたかもすばらしい製品であるかのごとく、素人のレポートを装って、メーカー側が提灯記事を書いた(と思われてしまった)」(場合によっては詐欺ですよ)、「しどろもどろの嘘を塗り重ねてしまった(と思われてしまった)」ことだ。また、「ソニーという、輝かしい歴史と技術力を持ち、根強いファンも多い会社が、小手先の(しかも下手な)宣伝に頼って、出来損ないとはいえ看板商品Walkmanの名を冠する商品を売ろうとしたこと」も、失望を買った。あとは無駄にMacをおとしめたりしてるし。
それで「素人」による「モニター」の設定上の齟齬を読者からコメントで突かれるとしどろもどろ(そう、設定上の齟齬があったのだよ。ソニーマーケティングのチェックが甘いと言わざるを得ない)。で、ソニーの広告姿勢に批判が集まるやブログを閉鎖した、と。
この事件は確かに企業が安易にブログに手を出すべきではないといういい例だ。だから、週刊ダイヤモンドで取り上げる価値がある。しかし、変な取り上げ方だ。
記事にある「下品なコメント」も投稿されていただろう。あれだけ大量のコメントがついていればそれなりの数が。しかし前述のようにそれは本質ではない。ダイヤモンドの記事は、ソニーマーケティングの失態を隠し、あたかも「善良な個人」が「ネット上の卑猥な奴ら」に屈したかのような印象操作を試みるひどいものだ。こういう記事はweb2.0時代を生き残ることはできないが、特集を読んで「これからはブログだ」と思ってしまうおじさんたちはまだまだ絶滅することはないし、そしてまたアホな炎上を繰り返すのだろうなあ、と思った次第。(で、web2.0っておいしいもの?)
参考サイトを以下に示す。
http://gelauftman.seesaa.net/
http://www.propeller-head.net/archives/000830.html
http://applesong.blog8.fc2.com/blog-entry-228.html