組閣の日に何が起きるか

内閣改造の日でした。組閣の際には役所内にも浮ついた空気が流れます。大臣と接するのは大幹部連中であり、我々のような下っ端にはあまり関係のない話なのですが、それでもなんとなくソワソワしてしまうのは私がお祭り好きだからでしょうか。
あまり関係ないとかいいながら、しかし確実に関係が出てくる場合があります。その大臣が、役所内で自己の選挙目的で影響力を行使する場合、つまりいわゆる「口利き」を頻繁に行う場合、関係部署では下々までばたばたと走り回らねばなりません。誰がそういう人かというのはそれなりに相場観があって、「○○先生は××省だってよ。××省の中の人も大変だな」とか思ったりします。
さて、そんな浮ついた空気とは別に、大臣が交代するとなるといろいろとやらなければならないことがあります。小さいところではwebサイトに掲載する大臣プロフィールの変更、その他省内情報システム、あるいは書類上の名義変更。大臣秘書官の人事異動なんてのもあります。大臣秘書官は基本的に大臣が交代すれば異動です。優秀な人が配属されるポストです。あーあの人が大臣秘書官か、やっぱりなぁ、とか思ったり思わなかったり。大臣のキャラクターによって、胃に穴が空いたり禿げたり指輪を買いに走らされたりする、いろいろ大変なポストです。
さて、組閣当日に各省庁でやらなければならない業務のうち、業務量が一番大きいのは大臣就任記者会見でしょうか。官邸でも就任記者会見をやりますが、各省庁でもやります(前回はこんな感じで記事にしました)。大臣就任の抱負を述べて、記者からの質問に答えます。
さて、新大臣がその役所の業務に精通しているとは限りません。たとえその省関係の族議員であっても、役所内外にどのような問題があるのか、どういうところを国民にアピールしていかなければならないのかなんてことは分かりません。よって役人がレクチャー(霞が関用語で「レク」)を行います。
内閣改造がいつ頃ありそうか、なんて情報は各種の情報源から入ってきますから、それに間に合うように「レク資料」を作らなければなりません。就任時のレク資料としては、役所の扱っている業務を説明する「所管事項説明」と、記者会見用応答要領でしょうか。組閣から各省庁での記者会見の間には、例えば皇居での認証式や初閣議や記念撮影等の行事が目白押しで、なかなか十分なレク時間が取れません。よって、取り急ぎ現下の重要課題について重点的にレクをすることになります。
資料と言っても一から作るわけではありません。例えば局長の人事異動の際などにも所管事項説明資料が必要ですので、それを適宜修正(霞が関用語で「リバイス」)する形になります。もちろん局長と大臣とでは知っていなければならない情報の広さ深さが違いますから、ずいぶんシェイプアップすることになりますが。
記者会見応答要領は、記者が聞いてきそうなことを中心にまとめます。前述の「重要事項」とほぼ重なります。その分野についての素人が大臣になることがありますので、質疑応答もグダグダになったりしますが、記者だって実のところ詳しく知っているわけではなかったりするので、なんとなく記者会見の時間が過ぎていきます。
こうして組閣の夜は更けていくのでした。