「節約」は節約にあらず

3月に平成16年度予算案が国会で成立し、4月から使えるようになった。このお金で補助金を出したり、ものを作ったり、審議会を開いたり、出張したり、事務費人件費を払ったりする。
ところが、国会で承認された予算の全額が使えるわけではないことはご存じだろうか。霞が関には「節約」という摩訶不思議な言葉がある。別に日常業務のコストを切りつめることではない。財務省が、予算の費目(旅費、物件費)ごとに、予算全体のうち○%は使うなと指示するのだ。それに従って予算を使わないこと、これを節約(留保)という。(参考:財務省プレス発表資料
節約されたお金はどこへ消えるか。年度の後半に、前年度の決算余剰金等とあわせ、改めて配分し直す。足りなくなったところ、新たに必要が出たところ等に付け替える。これを実行するために政府は毎年補正予算案を国会に提出し、議決を求めている。補正予算は、別に景気対策のためだけにするものではなく、毎年のことなのだ。昨年度でいうと、約1兆1700億円が節約され、イラク復興支援協力事業費等に回された(参考:財務省・平成15年度補正予算)。
節約は毎年必ず求められる。だから、実際に必要な経費の分しか予算の額面がなかったら年度途中で予算不足になる。よって、節約を最初から見越して予算要求をすることになる。○○対策費今年はなんと100億円!とか言っても、平均留保率10%とすると実際には90億円しか使えない。そんなもんです。
というわけで、霞が関界隈で「節約」というとそれは一般的な意味の節約ではなくて、留保のことを指します。
さて、予算で気になることといえば「余らせないように使い切る」ということがある。これについてはまた今度。