自民党、政権公約発表

さて、民主党マニフェストのレビューをやったので今度は自民党の公約でも見てみるかね、どうせアレなので評論する意味がないのだが(謎)、と思いながら自民党webサイトに行ったら、

10月10日発表いたしました「自民党政権公約2003」は公職選挙法の規程によりホームページには掲載できません。

衆議院議員総選挙公示後、支部連合会、選挙事務所等で配布いたします。

ときたもんだ。*1
そうしたら民主党も…と思って民主党webサイトへ行ったら、アレ?マニフェストあるよ?*2どーして?民主党公選法違反?それとも自民党が抑えすぎ?
そういえばこの前ニュースでマニフェスト配布を解禁する公選法改正があったとか言っていたような…。しょうがないので総務省のサイトで確認してみる。…情報がねぇ!とても情報通信所管の役所とはおもえん(それは旧郵政で公選法は旧自治だから関係ない、という言い訳もありか)。
ぐぐってみると、どうもごく最近国会で成立したようで、法令検索システムにも出てこない。いろいろ探すと、東京財団マニフェスト研究会のページがあり、参考になる。ここでは、マニフェスト公選法に定める「確認団体」を巡るおかしな状況を批判している。これはこれでごもっとも。
さて、では最近の改正の内容は何だろうか。朝日新聞によれば、自民党マニフェストの配布を容認する公選法の改正案を了承し、国会で成立する見込みであること、従来野党を利するだけと消極的であったが、マニフェストに後ろ向きだと世論から支持されないという判断が働いたことにふれつつ、改正内容をこう述べている。

現行の公選法では、選挙期間中に配布できる文書は政党のビラ2種類以内とされ、配布場所も候補者の事務所や演説会の会場などに限定されている。今回の法改正では、マニフェストを「国政に関する重要政策などを記載したパンフレット」などと位置づけ、政党ビラと同様に配布場所を限ったうえで認める方向だ。

さて、手元に改正法がないのでこの内容の真偽がわからないのだが、まぁ正しいとして、「配布場所を限った上で認める」とある。とすると自民党webサイトの表現が正しく、民主党政権公約はかなり怪しい。これが本当に公職選挙法違反であるのかないのか、総務省民主党自民党の担当者に聞いてみたいものだ。


現行法上の議論はともかく、私はwebサイトにおける選挙活動はかなり広く容認されるべきだ、と考える。公職選挙法の一つの理念として、金のかからない選挙を実現する、ということがあると思う。公職選挙法の限定がなければそれこそ湯水のようにお金を使える候補者が勝つことになる(まぁ実際は制限を越えて湯水のように使っているようだが…)。リアルワールドの選挙広報活動に対し、webサイト構築・維持費用は比較的安いであろう。国民の多くがインターネットを利用するようになり、さらにこれからもっと多くの人間がもっと使うようになるであろうことを考えると、ネットというのはもはや新聞・テレビ・雑誌に並ぶ重要な情報源である。ここで広報活動ができれば、お金を(比較的)かけずとも広報できよう*3
まさかこのご時世に「ネットを使える候補者と使えない候補者の格差が生じて…(あるいはネットに精通した候補者とそうでない…)」なんて議論をする人間はいないだろう。選挙カーは認められているが、これを「運転できる人とできない人が…」といって禁止するようなものだ。
インターネット選挙活動については総務省も研究中であるが、この毎日新聞の記事(太田記者だ!)も参考になろう。太田記者は「想定外だったネット」とし、「選挙運動の定義から、抜本的に考えていかなければならないのだ。」と述べている。これはまさにそうで、現行法体系が崩れかねない議論である。そのため法案作成のための議論や国会審議も紆余曲折が予想されるが、ぜひ解禁の方向に持っていってもらいたいものだ。

*1:どうでもいいが小泉総裁と安倍幹事長のツーショットは狙いすぎです。

*2:政権公約」のトップが「脱官僚宣言」というのは腰が抜ける。「脱官僚」という方向性が正しいとしても、それ自体は手段であって目的ではなく、目的はあくまで「国民生活の向上」とか「豊かな国土づくり」とか、あるいは今回の民主党マニフェストで言えば「最小不幸」とかそういうもののはずだ。だが中身に関する批評はこの前もやったし、追加があればまた次の機会に。

*3:どうやって自分のサイトまで人を誘導するかという問題が残っているが…まぁこれはどのサイトでも同じだが。