お役所用語の基礎知識(1)

唐突にはじめてみよう。今日はつかみということで軽く。

  • 「ゴアイサツ」はどう表記する?

役人一年生の仕事に、局長やら次官やら大臣やらの挨拶文を書くというものがある。年頭所感だったり、あるいは審議会の冒頭挨拶だったり。そのときに「ひとことゴアイサツ…」というフレーズがよく入るが、さてどう書くか。アイサツは漢字かひらがなか。ゴはどうか。
実は役所の公用文には虎の巻がある。「新公用文用語用字用語例集」(ぎょうせい刊、ASIN:4324005575、こんなものまでamazonで売っているのか!)。今手元にないが、公用文における漢字の誤用・当て字の乱用を見かねた時の内閣官房(だか総理府だか)がまとめた漢字の手本帳と思っていただければいい。
それによれば、「アイサツ」はひらがなで書くことになっている(なぜとか聞くな。そういうことになっている)。で、「ゴ」はというと、接頭語の「ゴ・オン」(御)は、原則そのあとに続く文字が漢字の場合は漢字を、ひらがなの場合はひらがなを用いることになっている(なぜかは聞かないで…)。
よって、「ゴアイサツ」は「ごあいさつ」と表記するのが(公用文として)正しい。
わかったかな?おもしろくない?そうかもなぁ。
ちなみに一年生は徹底してこの用語・用字を鍛えられる(最近そうでもないようだが。少なくとも私が一年生の時の課長補佐は細かかった…)。そしてそのうち「例集」を見なくても漢字の間違いを指摘できるようになるのである。こうして無駄なスキルを身につけていく。