予想どおり…人事院勧告は引き下げの方向

8月上旬に予定されている国家公務員給与に対する人事院勧告で、2年連続で月給が前年度を下回るマイナス勧告になることが確実な情勢になった。人事院は現在、勧告の基礎となる民間給与実態調査(民調)の集計を進めているが、22日までにまとめた同調査結果の一部でも、今年は給与のベースアップがなかった企業が昨年よりやや増加し、他の指標も昨年と同水準の厳しい状況にあるためだ。引き下げ幅は昨年並みの2%前後になると予想される。

お給料引き下げです…。この人も唖然!叫びたくもなる!公務員の給料が民間アンケート調査を元にした人事院勧告に従って決められることは既に述べたとおり。人事院勧告は、労働基本権を制約された公務員に代わっていろいろしてくれるのだが(給与水準について内閣に勧告したり)、この人事院勧告も弱い。給与を引き上げる勧告の時には一部実施のくせに、引き下げ勧告はすぐ全部実行するし、歴代内閣は。まぁ給料が下がった方が国の資金繰りには得かもしれないけどね。

Random Walkさんところからリンクを張っていただいています。
公務員の給料には色々議論があるところ。人事院の行う民間給与調査にはどれくらい中小企業が入っているか分からないが、もっと下の方も見て給与水準を決めるべきだ、という意見もある。一方、中央官庁の職員に関して言えばもっと給料を上げてもいいのではないか、という意見もある。
Random Walkさん(というかmittyさんとお呼びした方がいいのか)も指摘されているとおり、「天下り」は日本的年功序列給与体系の中で、究極的「後払い」システムである。すなわち、若い時には働きよりも給料を安く、あとから急激に賃金カーブを上げる(働き以上の給料を出す)ことによって、組織に対する忠誠を増す(若い時に辞めると不利)のが後払いシステムであるが、民間がそれを退職金(及び大企業なら傘下企業に対する「天下り」)によって担保するのと同様、役所は民間企業、特殊法人公益法人等に対する「天下り」によって担保する。どうせ将来天下りなんて絶滅しそうなので、若い時にもっとくれよ、と言いたいところだ。
さて、現在の官僚に対する報酬は十分だろうか。これはまさに諸説争うところであるが、個人的に言わせてもらえば、もうちょっとくれよ、というところである。
官僚は激務である。もちろん部署によって繁閑の差はあるが、おおむね激務。月100時間以上の残業は当たり前だし、私は月200時間以上の残業をしたこともある。別にだらだらやっているわけではない(さっさと帰りたい)。仕事がとにかく多いのである(仕事を減らす努力をしろよ、といわれそうだが、仕事を減らすための仕事が多いのである。これはまた触れる機会もあるだろう。組織・体制を動かすのには想像以上の困難が伴う)。役所は9時5時でいいねぇという人がいるが、それは市役所区役所の窓口の話であって、霞が関の9時5時は「朝の9時から朝の5時まで」のことである(事実200時間残業の時はそんな生活だった)。残業代はほとんどつかない。予算で上限が決まっているからだ。当然サービス残業である。国家公務員には労働基準法が適用されない、よって違法ではない(と、聞いたことがあるがホントかどうかはよく知らない)。サービス残業を取り締まる厚生労働省の官僚は当然のごとくサービス残業をしている。
さて、そんな仕事をして30代も半ばになると、なんと大学の同期と倍以上の給与格差がついて愕然とする。官僚の代表格が東大法学部卒だとして、その同期連中は(司法関係を除けば)損保、都銀、商社、コンサル等々錚々たる大企業に勤めている。彼らは非常に高給取りだ。人事院の民間給与調査でいうならば上位にいる人々である。翻って我が身はどうか、というと情けないほどの給料だ。もちろん民間にいった彼らだって激務を戦ってきている。しかしだ、官僚だって激務だし、国家のため、国民のため死にものぐるいで仕事をしている。
では、官僚をそこまで激務に駆り立てるものはなんなのだろう。薄給なのに。これは、まさに「国家のため、国民のため」というプライドである(…というのが通説である)。自分の仕事が社会を変え、あるいは悪い方向に変化しようとする社会を何とか押しとどめ、よりよい社会に向かって行く。これを信じて仕事をしている。
……何をいおうとしたかすっかり忘れたが、だからもうちょっとお給料上げて、という話だったような気がする。
なお、アメリカのお偉い役人なんかはもっと薄給じゃないの、とかいう批判をする人は、もっと勉強してください。