参院予算委総括質疑は「片道方式」

さてさて、なぜだか知らないけど今年は予算審議が超順調だが、ぼちぼち参議院予算委員会で締め括り総括質疑が行われることになる。「締め括り」は文字通り予算審議の総まとめ、ということだが、「総括質疑」はまぁ簡単に言えば全大臣出席でなんでも聞きまくる回のこと(総理はいたりいなかったり)。総理出席の時はNHKの生中継が入ったりしてなかなか盛り上がる(余談だが、「○○党の○○議員の質問です」みたいなアナウンスも、NHKのアナウンサーが国会までやってきて入れている)。
参院予算委の質問は、他の委員会と違って「片道方式」で行われる。これは委員の持ち時間のカウントの仕方のことで、「片道方式」では純粋に質問時間にのみ制限がある。これに対し、他の委員会で採られる「往復方式」は、質疑時間と政府側の答弁時間を合わせて何分、と制限する。
委員会でその日に合計何時間審議を行うかとか、何党が何分質問するとか、ということは、事前にその委員会の理事会で決められる。それに従い、各党は質問者を立て、いろいろ質問する。その時の割り振り時間のカウントが、参院予算委では「片道方式」で行われるのだ。
さて、片道方式の面白いところは、質問の巧拙によって、政府からどれぐらいの答弁を引き出せるか決まるところだ。片道方式だと、普通、質問時間の3倍が質問答弁合計の相場だ。質問時間が30分なら、政府側答弁がだいたい1時間、合計1時間半ぐらいに収まることになる。ところが、短い質問を立て続けに浴びせかけるとか、政府側が答弁に窮してしどろもどろにダラダラと答弁してしまうような質問をすると、質問時間の何倍も答弁を引き出すことができるのだ。
国会の(予算委ではない)委員会質疑を見たことのない人がほとんどだと思うが、なかなか質問がぐだぐだである。いきなり議題と関係のない地元の話を始めたりとか、自分の人生訓を延々語る議員も少なくない。まぁどのように質問するかは質問者の判断だから文句は言わないが、もう少しうまい質問の仕方がありそうなもんだがな、としばしば思う。(が、それらの前口上が質問の重要な前提になっていることもあり、また地元へのアピールの関係もあるだろうから、そういうものかな、と思う。)
しかし、参院予算委の片道方式でそれをやっていてはもったいない。とにかくどんどん質問をぶつければ、政府からがんがん答弁を引き出せる。
質問者「○○の件はどのような認識で決定を行ったんでしょうか」
政府側「えー、本件につきましては……でございます」
質問者「元になった調査結果の概要をお示し願いたい」
政府側「えー、この調査は平成○年に……でありまして、……ということでございます」
質問者「その調査では××の件については調べているのでしょうか」
政府側「調べておりません」
質問者「なぜ調査していないのですか」
政府側「えー、先ほども申し上げましたとおり、この調査は■■の△△を……ということでございます」
質問者「○○の件を決定するにはこの項目が必要不可欠だと思いますがどうなんですか」
政府側「えー、○○につきましては…」
てな感じで、ぽんぽん細切れに質問していけば時間を有効活用できる。以上のやりとりについて、質問時間を合計しても2分にも届かないだろう。往復方式だと政府側答弁も持ち時間にカウントするので質問数は限られるが、片道ならばやりようによってものすごい数の質問ができることになる(そして役人はものすごい数の答弁作成のため徹夜して疲労困憊)。答弁するときにはいちいちマイクのあるところまで行かなければならないので、ぽんぽん質問されると椅子に腰を落ち着ける暇もなく往復することになり、体力も消耗する(笑)。マイクから遠いところに座っている政府参考人(役人)が答弁するときはなおさら大変で、質問・答弁の時間より往復する時間の方がかかるかも。
片道方式で質問の仕方がうまかったのは民主党の…忘れた。誰だったか、質問時間の5倍ぐらい答弁を引き出していた人がいたような気がする。それはそれでいいことなんだが、その次の委員の質問開始時間が読めなくて、往生した記憶がある。

往復方式だと政府が冗長な答弁をして時間稼ぎできるじゃないか、と指摘する向きもあるかもしれない。しかし、冗長な答弁をすればすぐ野党から抗議が来るし、第一冗長にしゃべると言うことはそれだけ揚げ足を取られる可能性を高めることになるから、そこらへんは政府も簡潔な答弁を心がける。
というわけで、多分NHKも入るだろうから、興味がある方は予算委の中継をご覧ください。また、衆参両院のwebサイトでは会議の生中継もやっているし、ライブラリもあります(衆議院については平成12年の常会から、参議院については今国会分のみ。参議院も過去の分を公開してくれるといいなぁ)。
(なお、本文中委員会の場で政府に対し問を投げかけることを便宜上「質問」と表記しているが、業界用語では「質疑」という。国会法参照。)

営利企業への就職の承認に関する年次報告発表

http://www.jinji.go.jp/kisya/0403/eiri.htm
どんな人がどこへ「天下」っているかについては「参考2」を参照。
(参考)

国家公務員法(抄)

(私企業からの隔離)

第百三条  (略)

2 職員は、離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関、特定独立行政法人又は日本郵政公社と密接な関係にあるものに就くことを承諾し又は就いてはならない。

3 前二項の規定は、人事院規則の定めるところにより、所轄庁の長の申出により人事院の承認を得た場合には、これを適用しない。

国家公務員法

人事院規則一四―四(営利企業への就職)

地方公務員の給与、「過去最低」水準で国家公務員と並ぶ

総務省は24日、03年4月1日現在の地方公務員(一般行政職)の全国平均給与について、国家公務員給与との比較で過去最低の水準になったと発表した。国家公務員の給与水準を100とした場合の地方公務員の給与水準指数は100.1で、前年同期より0.5ポイント下がった。74年のピーク時からは10.5ポイント下がっている。