閣僚と知事、兼務は無理…田中大臣案を首相が批判

読売より。

小泉首相は5日、民主党衆院選で政権を獲得した場合の主要閣僚名簿に、田中康夫長野県知事地方主権担当として入れたことについて、「大臣になってみれば分かるが、ほかの仕事はできない。役職(の責務)を果たそうと思ったら、県知事も片手間にできる仕事ではないと思う」と批判した。首相官邸で記者団に語った。

これに対し、民主党の菅代表はこの日の神奈川県藤沢市内での街頭演説で、「これまで、自治を阻止する大臣や、分権の発想のない大臣ばかりで、誰が地方分権をできたのか。閣僚になった途端、役人のいいなりになった」と反論した。

 うん、無理だと思う。

もし田中大臣が実現するとして、実働部隊はどうするつもりなんだろう。やっぱり長野市内閣官房の出先を作るんだろうなぁ。また金がかかるなぁ。行政改革なのにさらに金をかけるのか。

ところで、「閣僚になった途端、役人のいいなりになった」という官代表の発言に対し、「んじゃぁ田中知事もそうなっちゃうんじゃないの」と素朴なつっこみを入れようと思ったが、なんせ発言の全体がないもんだからなんとも論評しにくい。こういうときに選挙での応援演説も含めた「政治家発言データベース」みたいなのがあるといいんだけど。

高速道路論争

読売より。

民主党衆院選で「高速道路の原則無料化」を目玉政策として主張していることに対し、小泉首相自民党総裁)は反論文書を作成し、これに基づいて無料化案を批判するよう自民党に指示した。反論文書では、「(民主党の)菅代表の『高速道路を無料化しても、新しい高速道路までできる』というのは全くの誤り」と真っ向から否定している。

具体的には、民主党道路特定財源一般財源化や自動車取得税の廃止を主張していることを指摘したうえで、〈1〉一般財源化などで道路予算は9兆円から6兆円に縮小される〈2〉このうち国が使えるのは約2・4兆円で、債務償還に2兆円を充当すれば既存国道の補修すらできない――などとしている。

首相周辺は「菅氏の地元のJR中央線立体交差事業もできない。どこの道路建設ができなくなるのかをはっきりすべきだ」と批判している。

竹中経済財政・金融相は5日の鳥取県米子市内での自民党候補の応援演説で、「高速道路をタダにするというが、タダより高いものはない。結局は税金の負担となって跳ね返ってくる」と述べた。首相が政府・与党一体となって高速道路無料化案を攻撃するよう指示した背景には、民主党の目玉公約が注目を集めることに対する危機感がある。

これに対し、菅氏は5日も静岡市内での応援演説で、「9兆円の道路財源のうち2兆円を借金返済に充てれば、無料にしても困らない。7兆円を有効に使えば必要な道路はできる」と訴え続けており、高速道路無料化を巡る論争は激しさを増しそうだ。

 この記事はいい記事だ。全く無駄がない。

さて、文書の形で反論と言うことは、webサイトにも載るのだろう。いや載せてくれ。新聞経由ではなく、「ソース」が議論を公開してくれるのは大変ありがたい。民主党もwebでも反論すべきである。

こういう話はどっちがうそをついているか、あるいは無知なのか注意深く見る必要がある。数字にはトリックが使われていることがよくあるからだ。首相が算出根拠も含めた文書を提示するつもりなら、どちらがうそをついているかあきらかになる。

竹中大臣の「ただより高いものはない」というのは正しい。経済学をかじっていない人間は機会費用・機会損失という概念に乏しいと思うのだが、高速道路を無料化する分確実に税金が食われるわけで。食われた税金はもっと他の分野(例えば福祉とか年金とか。今は特定財源だけど一般化すれば。)に使えたはずである。つまり極論すれば、「高速道路無料化にもかかわらず高速道路建設」という民主党の主張は、「福祉を削って公共事業を推進」という読み方もできる。まさに「野党のみなさまが常日ごろ批判する」自民党の体質(?)ではないか。