新世紀エヴァンゲリオン放映開始から丸10年

1995年10月4日、テレビ東京系列で、歴史的アニメの放映が始まった。その名も新世紀エヴァンゲリオンという。
1995年といえば1月の阪神・淡路大震災、3月の地下鉄サリン事件と一連のオウム騒動。バブル崩壊は誰の目にも明らかで、しかし後に「失われた10年」と呼ばれるほど不況が深刻化・長期化するとは一般には考えられていなかった時期ではないだろうか。いわゆる「住専問題」、住宅金融専門会社公的資金を導入するかどうかで大もめしたのもこの年で、この議論の余波を受けて大手銀行の不良債権問題の解決に手がつけられなくなり、大手行や一部地方金融機関への公的資金の投入は、なお3年待たねばならなかった。阪神大震災での不手際や、従来路線の放棄等もあって、永遠の第二党、しかし当時は自民・さきがけとともに政権党の日本社会党は致命的打撃を受け、翌年1月社会民主党へと衣替えすることとなる。
エヴァンゲリオンは、オウム事件とも相まって思想・言論界にも大きな影響をもたらした。なんせエヴァとつけば本が売れる時代だった。テレビで十分になされなかった「謎解き」のためには、歴史、宗教、現代思想等々諸々のものが動員された。書店にはエヴァ本コーナーができ、毎月多くの書籍が刊行された(そして私を含むオタクどもが山のように本を買った)。
Windows95が発売され、インターネットが一般に普及し始めたのもこのころ。「謎解き」「議論」は主にニフティサーブで行われていたが、次第にインターネットにも進出し、山のような「SS」(ショートストーリーまたはサイドストーリーの略)が書かれ、うpされ、一部は(コミケにおける自費出版の形ながらも)本の形になって市販された。
私も毎週水曜日を楽しみにしていた口だし、ひたすらコマ送りを駆使して細かいところまでチェックし、夜中になればネットに出て行って「あのシーンはこうだ」だことの「アレは実はこれこれで」だことの議論していた記憶がある。しばらく買っていなかったニュータイプを再び購読し始めた。
などという前置きははっきり言ってどうでもよい。レイかアスカかでいえば断然アスカである。断言できる。断言してもしょうがないことだが。
同時期に爆発的なヒットとなっていた「ポケモン」とともに、「アニメが儲かる」との認識(正しいかどうかは別として)を広めたのもエヴァだった。いわば「オタク層の再発見」「アニメビジネスの発見」。深夜を中心にアニメ放映数が爆発的に増加し、商社を始めアニメに関わってこなかった業界が次々に参入し、粗製濫造の時代を迎える。
ちなみにこの話には落ちはない。ただ言えることは、見たことがない人は是非この機会に借りてきて見るべきだ、ということだ。