続・ハリケーンカトリーナ

今週のニューズウィーク日本版に興味深い記事がありました。混乱するコンベンションセンタースーパードームの模様もすごいのですが、役人的に興味深いのは以下の部分。

カトリーナがメキシコ湾岸に上陸した29日の朝、空軍予備隊の第920救援隊を率いるティム・ターチック大佐は、被災地に救援ヘリを飛ばす許可を得ようと、関係機関に電話をかけまくった。しかし、官僚主義の壁に阻まれた。

連邦緊急事態管理庁FEMA)の担当者は、FEMAには軍を動かす権限がないと答えてきた。軍を動かすには国防総省の命令が必要なのだった。ようやくターチックに出動許可が出たのは30日の午後4時。カトリーナが通り過ぎてから24時間以上がたっていた。

(微妙な時期ゆえに匿名を希望した)複数のホワイトハウス関係者によると、災害発生から数日間、ブッシュ政権の要人たちは救援活動の指揮命令系統をめぐる法的な手続きの問題の議論に明け暮れていたという。

上の部分については、日本では阪神大震災の(貴重な、そして貴い犠牲のもとに学習された)教訓によって一定の改善がなされています。下の部分。さもありなん。役人はこんな時でも、いやこんな時だからこそ手続き論には敏感になります。最初のしきりによって、今回の災害が収束するまでの関与の度合いが決定され、そして将来にわたる前例となります。キューバ危機のさなか、U2を軍とCIAのどちらが飛ばすかで揉めて、タイムリーな情報収集ができなかったように。アメリカにはさらに難しい問題、すなわち連邦という体制下において国はどこまで関与すべきか、的な問題が加わるでしょう。
さて、東京でもし万が一、台風+高潮で大変なときに直下型大地震が襲ってきて、低地が水没し都心のビル街が崩壊し、東京に至る道がことごとく破壊され、人心が荒廃し治安が極度に悪化し、しかし警察は道路の崩壊で機動力を奪われあるいは救助活動で手一杯の時に、時の内閣は自衛隊の治安出動を速やかに決定できるでしょうか。……あ、災害出動でなし崩し的に治安維持活動をする?